○シロエとマツカを対談させてみました。○
「あ……君が……」
(キースの心の中にいた……)
「……(じー)」
(この人の心の中にもキースがいる……ああでも二人とも、相手を見ている自分を隠そうとしてしまっている……どうして、気持ちは同じもののはずなのに)
「アナタがマツカさん、ですか?あのキース・アニアンの部下の」
「えっ、は、はい……っ」
「(にこっ)大変ですね、あのひとでなしのマザーの申し子の部下だなんて。どうせ毎日ロクでもない命令ばかりされてるんじゃないですか?歩く廊下に塵一つ落とすなとか、跪いて靴を嘗めろとか」
(さすがにそれはちょっと……)
「それでも僕は……キースの傍に居ることしか、出来ませんから」
「……ッ」
(あ……何だろう、強い怒りと悲しみと……僕に?)
「そうですか、わざわざ一緒に居るなんてアナタも相当な物好きですね」
(これは……嫉、妬?)
「まあそれでもいいと言うなら僕には止める義理も権利もありませんけど、忠告だけはしておきますよ。後は好きなだけ一緒にいればいい」
(……あなたたち、は)
「キースが居て欲しいと願っているのは……きっとあなただと思います」
「なッ」
「あの人はいつも孤独で……それを求めているように見えるけれど、本当はきっと、そんな人じゃないから……」
(孤独に見えるのは、誰も信じられる人が、心をぶつけてくれる人が居ないから)
「誰かが傍に居ないときっと壊れてしまうから……だから」
(だから傍に居たいと思った、彼がそれでも……僕という存在を、意識に認めていてくれるから)
「せめて彼が壊れてしまわないように、僕はあの人の……キースの傍に、居るんです」
「……それが、僕とどう関係あるって言うんです?あんな奴、どうなろうと知った事じゃない」
(嘘だ)
「それは、」
(こんなにも切ない想いが伝わってくるのに)
「あなたは、」
(ああそうか……やっぱり、あなたたちは)
「あなたは……キースを変えてくれた、人だから」
「……っ……どう、いう……?」
(相手に自分が映っている事への喜び、どうしようもない執着……なんて不器用なんだろう、あなたたちは)
「あなたが居てくれたなら、キースは壊れることなんてない」
(彼にとってあなたは彼であるための心の寄る辺なんです)
「あなたがキースに心をぶつけてくれる限り、彼は……きっと彼で居られるんです」
(そんなそぶりなんて、決して見せはしないけれど)
「そんなのっ、アンタが居るんだから関係ないだろッ!アンタがやればいいんだっ……」
(覆い隠しても見えてしまう執着……やっぱり、きっとそう、なのにあなたは)
「僕には出来ませんよ」
(僕では無理なんです)
「なんでっ、だからって」
(僕は本当ならきっと、彼の中では認めてはいけない存在)
「僕はキースを信じています。けれど同時に、恐れてもいる」
(いつ裏切るともわからない不安定な僕には出来ない)
「あなたはキースを恐れない。あなたは、彼と真正面から立てる人だ。だから」
(痛いくらいの激情を最初にぶつけたあなただから)
「どうか……出来るなら、彼の傍に居てください。――お願いします」
(キースの隠された心は、いつもあなたを見ているのだから――)
「おっ、お願いしますじゃないですよッ!」
僕にそんな義理、ありませんからッ!と言い残し、彼は怒ったようにして立ち去ってしまったのだけれど。
僕は信じています、大丈夫だと。
だってシロエ、ほんの少し見えたあなたの心の中も、
切ないくらい、キースでいっぱいだったのだから。
END
なんだこれ…(笑)
多分マツカってキースのおかーさんっつーかそーゆーポジションよね、シロエによろしくお願いしますとか言うんだよね、なんて話をしていてなら対談させちゃえーと書いてたらこんなことに…
悩みながら書いてるうちになんとなくこの三人の関係性というか立ち位置が決まった気がします。やっぱキスシロでマツカはその後ろで二人の背中を守るよ的な。
…うーん、難しいッスね。
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