目隠ししましょう全てから

 目隠ししましょうあなたの()

 空も、風も、光も、闇も、

 全て隠してしまいましょう







○皆既日蝕○















 真っ暗、だった。
 何も、見えない。
 何も、無い。

 ジョミーは酷く不安になって、誰か居ないかと声を上げる。

「……■■……■■……■■■■…■■……誰か……」

 違和感が、あった。

 誰を呼ぼうとしていたのだろう?
 誰を?


 脳裏を巡るのは唯一人、それだけはやけに明瞭(はっきり)とした名を言葉に変える。

「ソルジャー……ソルジャー・ブルー……」
「ジョミー?」

 答えが返ってくると同時、ふわと燐光のような気配に包まれる。
 けれど、やっぱりその姿は見えなくて。

「……見えない……」
「ああ、見えないかも知れないね」

 ごく当たり前のような返答(こたえ)
 言い知れぬ不安が背筋を撫でる。

「……どうして……何も見えないの?」
「見る必要がないからね」
 見なくても、僕を感じることはできるだろう?

 確かに、全く無の視界に、だがソルジャーの存在だけは明瞭(はっきり)と感じ取れる。
 その思念は、その声は、まるで浮かび上がっているかのようで。


 ――否。
 ソルジャーの声しか、聞こえないのだ。

 後は唯、耳に痛い程の、静寂。
 風の歌も、星の瞬きも、皆の声も。


 ――誰の?


「どうして……ソルジャーの声しか、聞こえないの……?」
「君には僕の声だけ聞こえていればいいからだよ」

 耳に、心に心地良い、声。

 それ以外は深い、無。


 ソルジャーの声は酷く安心するもののはずなのに。
 襲い来るのはどうしようもない、不安。

 何故。

 何故。

 思考は取り留めなく集っては散るを繰り返し。
 それでも浮かんだ疑問符を逃さないよう言葉に変える。

「……誰の思念も、伝わってこないんだ……気配も、なにも」

 そうだ。

 誰の気配もないのが、おかしいのだ。

 此処は、此処には沢山誰かが居たはずで。
 例えどんなに隔たろうともいつでも誰かの思念が伝わってきたはずで。

「此処には僕とジョミーしか居ないからね」
「どうして……」
「ジョミー、君が居ればいい。そうだろう?」

 酷くあっさりとした、言葉。

 よく、わからない。

 それがごくごく日常的な、当たり前のことなのか。

 それとも悪夢よりも尚悪い非現実的な何かなのか。

 わからない、わからない、けれどこれはきっと



 チガウ。



 声に出してそう言ったつもりだった、けれど実際にそれは音にはならなかった。

 ふわり、微笑む気配。
 不意に頬に触れたのは、誰かの手。

 誰?

 此処には彼しか居ないのに、どうして誰そ彼(タソガレ)を問う?

「君さえ居ればいい。君しか要らない。ジョミー、やっと見つけた、僕の太陽」

 触れているはずの手は、暖かくて、冷たい。

ずっと一緒にとブルーが微笑う。

「一緒に……?ずっと、二人、で……?」
「そう、他には何も、要らない」



 イヤダ。

 コンナノハ、オカシイ。



 心は確かにそう叫んでいるのに。
 紡ぐ言葉は現実(イマ)を疑わない。



 他に誰も居ない世界。

 二人だけの世界。



 後は唯、何も亡い、無



「ジョミー」



 全て、消えた、世界



「君が、君だけが――欲しい」

 誰も、居ない



「一緒に、居よう」

 ゴメンナサイ。



 遠く脳裏に響く、二つの声が、重なった、気がした。










END





……全力でスライディング土下座 orz
意味がわからない上にものっそい勢いでじーさま壊れました。本編でこんな壊れてたら泣くぜ俺…
どーゆーシチュかはごそーぞーにお任せしますが…十中八九ロクな状態じゃーねーやな…
そしてこっしょり実は歪アリのオマージュだったりする…

全力ですみません…


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