「――笑わないの?」

 あどけない表情をこちらに向けて。

 首を傾げて、そう、言った。








○笑って。○















「――なんだ、いきなり」
「だって、さっきから見ててもさぁ、アルベルさっぱり笑わないんだもん」
 笑わないの?と、蒼い髪を揺らしながら更に問うてくる。
「別に笑わねぇわけじゃねぇよ」
 普段だって笑ってんだろ。と言ってやれば、「えー?」と大げさな声を上げた。
「普段って、戦闘の時とかの事?あれは違うだろ、あれはどっちかって言えば高笑いって感じだもん」
「笑ってることに変わりはねぇだろ」
「そうじゃなくてさ!もっと楽しい〜とか、嬉しい〜とかさぁ」
 言いながら無造作に人の顔に向けて手を伸ばそうとする。
 それをいなすと「ちぇっ」と頬を膨らませた。
 百面相だ。
「なんで笑わないのさ?」
「必要ねぇだろ」
 少なくとも、戦いの中に身を置く以上は。
「必要なくないだろー」
 懲りずにまた手を伸ばしてくる。
 今度は払わずに捕まえてやった。
「必要ねぇよ」
「必要。だって僕が見たいから」
 随分と身勝手な意見だ。
「だってやっぱり、笑ってて欲しいからさ」
 捕まえた手を絡めあう。
 少しだけ頬を染めて俯く表情が可愛らしいと思う。
「……な人には」
 消え入りそうな細い声でぼそりと呟いた。
 恐らく誰の耳にも届かない声。
 この距離だからこそ、俺には聞こえた。
「なら、お前が笑え」
 言って、距離を更に狭めて。
 刹那だけ言葉を封じる。
 離れて、見た表情は驚いたような顔。
 それもすぐに真っ赤に染まる。
「……いきなり……だよな、いっつも……」
 非難するような響きを込めて、それでもその表情は微笑っている。
 俺にはそれだけで十分だ。

 俺が笑う必要なんてない。

 お前が俺の分まで笑ってくれるから。










END





だから短いってば…orz
アルベルが笑うって言えば「このクソ虫が!ふははははは!!」とか言いながらばっさばっさカタナ振ってるイメージしかないですね!(笑顔)


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