「あーッもうまた失敗だ!」
 工房の奥から嫌な音がする。
 また――か?







○眼鏡を外して○















 行って見ると案の定、眼鏡をかけたフェイトが癇癪を起こしていた。
 散らばっているのはガラスの破片。恐らくは調合に失敗した薬品でも入っていたんだろう。
「〜っなんでいっつも上手くいかないかな!?量はこれであってるはずなのに……!!」
「ったく、またやったのかよ……」
「なんだクリフいたのか」
 オレがため息をついて声をかけると、まるで気の無さそうな声でフェイトが答えた。
 イライラしてるのは分かるが、そりゃないだろ?
 と、――
「おいフェイト、前から気になってたんだけどよ……」
「なに?」
 また新たに調合を始めるつもりか、薬草やら何やらをかき集める手を休めないままにフェイトが生返事をする。
「お前、調合するときいっつも眼鏡かけるよな。目が悪いわけじゃねえんだろ?」
「ああ、コレ?なんとなく」
「なんとなく、だぁ?」
「そう。眼鏡かけてたほうがそれっぽいだろ?僕童顔だしさ」
 そんな理由でかけてたのか。
 こちらを見ようともせずにフェイトは調合の準備を進めている。
 ガキ臭いが、少しだけ腹立たしい。
 別に誰がいるわけじゃねえし……かまわねぇよな?
「おいフェイト」
 声をかけると同時にこっちに顔を向けさせる。
「なっちょっ……クリフ!?」
 抵抗なんぞさせてたまるか。
 片手で顔を抑えたまま、片手で眼鏡を外してやる。
「おいっ返せよ!」
「ヤだね」
 ちょいと覗いてみる。案の定度は入ってない。伊達眼鏡だ。
「フェイト、こんなもんわざわざかけんなよ」
「そんなの僕の勝手だろ!」
 がうがう文句を言ってくるが、オレが顔を固定しているせいで身動きが取れないようだ。
 まだまだ青い。
「どーせ度が入ってないなら意味ないだろうが。それに……」
 こんなもの邪魔だろうが。
「せっかく可愛い面してんだから隠すんじゃねぇよ」
 言って、ついでだから貰っておく。
 顔を離せば、案の定フェイトは爆発しそうなほどに顔を真っ赤にしていた。
「ってことで、コレは没収だ」
 オレの言葉に我に返ったか、フェイトはトマトみたいに真っ赤にした顔を今度は怒りで紅潮させる。
「……〜っ返せよっ!!クリフの馬鹿ー!!」
「ヤだね、っと」
 フェイトが飛ぼうが叫ぼうが眼鏡はオレの手の中。
 どうせオレ達にはこんなもの邪魔でしかねぇだろ?
 だったら、さっさと外しちまえ。










END





この頃にはもうクリフェイが珍しい物体に…(苦笑)
ウチのクリフは身長でフェイトを苛めるノロケキャラか、黒フェイト様の玩具のどっちかのようです(笑)
御題→「携帯サイトで10のお題」様より


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