嘘を吐かれるのは、嫌いです。
嘘を吐くのも、嫌いです。
けれど世界にはあまりにも、
嘘が、絶望が、欲望が、策略が、因縁が、
あふれているから、
どんなに真っ直ぐ進んでも、虚言の壁に当たってしまう。
そして僕は嘘を吐きます。
嘘が、絶望が、欲望が、策略が、因縁が、
あふれる世界に、また一つ。
そして虚言に塗れる僕を見て、
君は、どう思いますか?
○虚言○
真実はいつか露見する。
それは理解っていた。
こんなにも長く、長く、この世界に留まっていたら、
いつか虚言という名の塗装は剥がれ落ちてゆくと。
それとも僕は、それを望んでいたのかもしれない。
嘘に、虚言に、策略に、疲れていたのかもしれない。
或いは僕たちとこの惑星を隔てる壁に嫌気がさしたのかもしれない。
そう、この嘘は僕と彼らを隔てる壁。
相容れぬ文化が創り出す壁。
彼らの未来を守るための壁。
未開惑星保護条約という名の、壁。
だが――
「それはもう……」
破られた。否、破った。
嘘を、虚言を、策略を、
吐き通すことに疲れた。
いや……
「なりたかったんだ……」
その先は言葉にならずに消える。
言いたくても、今の僕には言えない。
剥がれ落ちた嘘が喉を圧迫する。
仲間に……
彼らとともに……
在りたかった。
嘘も裏も策略も何もない姿で。
父さんたちのことも何もかも消し去って。
ただ、純粋にこの世界に在れたなら。
けどそれは僕と彼らを繋ぐ絆すら否定することになるから。
僕は真実を言えなかった。
例えその絆ですら虚言と策略のものだったとしても。
利害関係と、一時の協力だったとしても。
敵だったとしても――。
嘘が僕らを繋いでいたから。
僕は嘘を吐き続けた。
繋いでいた絆を手放せなくて。
離れていくことが恐くて。
君の記憶の中に居たかった、なんて。
けど――
虚言と言う名の塗装は剥がれ落ちて――
真実は露見する。
また、僕らは相容れぬ存在へと戻っていく。
違う世界の、違う存在に。
そんなこと僕は耐えられないよ。
だから、僕はまた、真実の上に虚言を塗る。
例えそれが傷つけあうものであっても、君の傍にいられるなら。
君の心を得られるものでなくても、君の傍に在れるなら。
僕は嘘を吐き続ける。
いつか、上辺の何もない僕で、君と――
そんな望みを心に秘めて。
END
「時と場合」の切り分けがつけられなくって悩む純朴フェイトちゃん。純朴ってありえない。
なんかフェイトってことあるごとに条約〜条約〜いってた気がしたので。
思い悩むことなんてなさそうだけど(笑)
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