貴方は今、幸せですか?









○幸せなら手を叩こう○















 ぺしん、と不意にフェイトが手を叩く。
「?」
 毎度ながらのことではあるが、意味のわからない行動にアルベルが眉をひそめた。
 そんなアルベルに、やはり毎度のことのようにフェイトが説明を入れる。
「幸せなら手を叩こう♪……って歌があるんだ」
 古い、童謡なんだけどね。とフェイトは微笑う。
「なんだそれは」
「幸せなら態度で示そうよ、幸せなら手を叩こう♪」
 アルベルの非難を無視してフェイトは歌の続きを口ずさむ。
「今が幸せだなって思ったからさ」
 一緒にいられる今が。
 恥ずかしい台詞を躊躇いなく言ってしまうフェイトに、アルベルはやれやれといわんばかりに肩をすくめた。
「なんだよ」
「そんな当たり前をいちいち蒸し返す必要もねぇだろうが」
『当たり前』。
 そう言ってくれることにさらに幸せを感じながら、フェイトは反論する。
「たまにはその当たり前をかみしめるのだって大事だろ。」
 ああ言えばこう言ってくるフェイトには敵わないと悟ったのか、アルベルはため息を一つつく。
「……手を叩くよりもっとわかりやすい方法があるだろうが。」
「え」
 まさにそれは一瞬の早業。
 気を抜いたその刹那。
 羽毛のように柔らかく、触れるだけだったけれど、それは――
「……っお前よくこんなこと恥ずかしげもなくできるよなっ」
「それはお互い様だろうが」
 顔を真っ赤に染めた恋人をどうしようもなく愛おしく見つめて。
 自分にしか見せないであろう悪戯っ子のような表情を見つめて。
 二人は『幸せ』を分かち合った。










END





サムい!上に、短い!!ある意味「やおい」(ヤマなしオチなしイミなし)の典型かもしれない(自爆)


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 某月某日。 晴天。
 またフェイトが騒ぎ出した。








○アルベルの空桶体験記○















 今度は何かと思えば。
「カラオケに行きたくなるよなー…」
 空桶?
「知らないよなぁ。色んな曲があってさ、自分で歌えるんだよ。イライラしてるときとかさ、思いっきり叫んだりして」
 ……それは今、イライラしているとでも言いたいのか。
 だが生憎だが俺は歌なんぞに興味はない。
「だよなぁ、アルベルはカタナ振り回してるだけでストレス解消になるんだもんな」
 何か微妙に棘のある言いかたな気がするが。
「気のせいだって。あーそれにしてもカラオケ行きたいー。歌いたいー」
 そして突如歌いだした。
「いつも胸の中にある 見上げる青い十字架ー♪」
 五月蝿い……
「いいだろ別に。どうせ何にもいないただっぴろい平原なんだから誰の迷惑にもならないだろ?……迷い疲れて 眠る夜には 君の笑顔を想い♪」
 一度わがままを言い出したコイツには何を言っても無駄だろう。放置しておくのが最善だ。
「なぁ、アルベルは何か歌わないのか?」
 ……放置していたのに、何で絡んでくるんだ?コイツは。
「なぁなぁ、一曲ぐらい何か知ってるだろ〜?何か歌ってよ、アルベル〜」
 なんなんだ一体。酔っ払いか、貴様は……
「紡ぐ 安らぎよ〜♪紡ぐ 遠き夢よ〜♪何か歌えって〜。気分だけでもカラオケなんだよ、カラオケなんだから何か歌えって〜」
 何だその理屈は。第一歌なぞ、興味がないから知っている筈もない。
 ……いや、知らないわけではないか……
「なになに?歌って歌って♪」
 ……酔っ払いよりたちの悪いこいつの絡みに、俺は渋々「漆黒」の団歌を歌ってやった。
 しかし、すっきりするというのはあながち間違いではないかもしれない。
 意外と清々するものだ。



 ……そのあと何故か、フェイトが二度と空桶という話題を口にすることはなかった。










END





千葉氏は果たして歌ったことがあるのか未だにしりません。
フェイトの歌、元ネタわかるかなぁ?ほっしーファンなら全部わかるだろうなぁ(笑)


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「いや、絶対違うね!」
「何言ってるのよ、絶対違うわ!」










○きょうだいげんか○















「……なんなんだい朝から騒々しい」
 町外れの宿に響く男女一組の喧嘩声。
 それが自分の仲間――フェイトとマリアだ――であると気づいたネルは、ため息混じりに呟いた。
 食堂で先に朝餉にありついていたクリフがそれに答える。
「どっちが兄か姉か、でモメてんだ、あいつら」
「……どっちだって変わらないだろ」
 聞けばどちらも年は同じ。同じ親の子なら双子ということになるだろう。
 兄か姉かなど関係ないような気もするが。
「ま、こっちにしちゃくだらねェことでも、本人たちには大問題なのさ」
「そういうもんかねぇ」
 どちらにしろ自分には無関係と、しばらく傍観することにする。
「何言ってるのよ!どう考えてもあなたの方が弟よ!」
「そんなワケないだろ!?僕の方が身長だって高いし、足も速い!」
 身長も脚力も関係ない気がするが。
「そんなことはどうでもいいのよ!とにかくあなたの方が弟でなきゃ駄目なのよ!!」
 珍しく、マリアらしからざる主体性のない言い分である。
「どーしてだよ!?」
 案の定、フェイトもそこに突っ込んだ。
「どうして、って……」
 マリアが口ごもる。
 言いたくはないのだろうが、それを言わねばフェイトも納得するまい。
 仕方ないという風に、マリアはひとつため息をついて、言った。
「だって……私、あんな触角プリンのことを『義兄さん』だなんて呼びたくないもの!!」

 ちょっとまて問題はそこか――!?
 その場にいた(フェイトとマリア以外の)全員が心中そうツッ込んだが、勿論当事者たちの耳には届かない。
 それどころか更にヒートアップしているご様子。
「……っな……!?じゃあ何だよ!?義弟ならいいのか!?」
 いやだからそういう問題なのか。
「義弟ならまだマシよッ!アレが義兄なんて、虫唾が走るわ!!」
 いや、だから……
 …………
 ――ますますヒートアップする二人の口論をよそに……
「……さて、今日の予定は……」
「なあ店主、ここらへんで旨い酒は……」
 皆各々勝手に行動しつつも、心の中は一緒だった。

「勝手にしてくれ……」










END





ウチの中ではマリア姉とフェイト弟は最早デフォルト。(笑)


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